片翼の天使達
………蒼い空
それを見上げて騒つく喧騒の方へユアンは視線を落とす
領主の邸宅も兼ねた城の前にある広場
そこに集まる人々よりも高い所に置かれた鳥籠
そこからユアンは人々を見下ろした
その拍子に銀色の髪が一房肩から落ちて、一緒にシャラリと髪飾りが揺れる
極たまに、ユアンは外の世界を垣間見る
それは彼女を『所有』する領主の気まぐれだった
けれど、ユアンがなんの感慨も湧かないのはこの鳥籠の所為だろう……
無機質な鉄の鳥籠から見る景色は、全て灰色に見えてしまう
ユアンは遠くをみたいと思った
しかし、『遠く』もこんなに色のない世界なのだろうか?
ユアンのいる場所よりも高い所に座り領主……フランク公は上機嫌に笑っていた