片翼の天使達



鳥籠の傍で笑う領主の顔を睨み付けながら、アレックスは広場出る
しかし、いったん立ち止まった



先に広場に出た三人は人ごみにまぎれこむかと思ったら、金髪の少年が一人別方向へ走りだしていた



他の二人は戸惑いながらもその少年を追いかけていた


それをとりあえず追い掛けながら視線を金髪の少年に戻せば、アレックスは驚愕する




輝く金髪の少年は驚くべき跳躍力で建物を駆け昇っていく


器用に建物の凹凸に脚をかけて滑るように登る様は、燕が空を飛ぶような軽快さがある



「……嘘だろ!?」



思わず驚きの声を上げて見上げる先にはもう、建物の一番上まで登った少年の姿があった



それに気付いた人々が騒ついた
太陽はもう上がりきっている
その眩しさに見上げる人々は手をかざしていた





…………そして







少年はそこから飛び降りた







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