片翼の天使達
アレックスは手を伸ばす
時が止まったかのように人々が立ち尽くす中、彼は機械仕掛けの人形のようにただ動いていた
視界にとらえた銀髪の少女
ただその姿を追って金髪の少年に向かって手を伸ばす
何が起こったのかわからなかった
気付けば人気のない街外れの路地に転がっていた
急いで起き上がれば、傍に少年少女が横たわっていた
金髪の少年が起きて、どこか打ったのか頭をさする
しかし、アレックスの目にはそれは入らない
少年の膝に倒れた少女に駆け寄る
「ユアン!!」
アレックスは気を失っている少女が怪我をしていないことを見てとってホッとする
愛しそうに白い頬に手を添える姿をみてカムイは衛兵の男を見つめた
「……貴方は」
カムイの声に安堵のためかぼんやりと男は返した
「俺はアレックス……この子の兄だよ」
青緑の優しい瞳の先には少女の安らかな表情があった