片翼の天使達



「ちょっと!」


フェニが声を上げればレイブンは冷めた口調で言い放つ



「お前だって驚いただろ?あんなこと普通の人間にできることじゃない」



レイブンもただ驚いたのだ
カムイの身のこなし、そしてアノ翼と広場から自分たち五人を移動させたのだから



アレックスも椅子に腰を掛け、鋭く見据える黒髪の少年を静かに見つめる金髪の少年を見た



幼さの残る顔にはなんの負の感情も感じられない
見たことのない紫暗の瞳にはつかみどころのない光りがあった



不意に少年は微笑みポツリと告げる



「僕、異端児らしいんだ」



レイブンは息をつめる



異端児……散々言われた言葉


その言葉を浴びせられるたび、何かが死んでいく気がした………



その痛みが甦る
なのにカムイの表情には痛みも苦しみもないように見える



「この白い服も『罪』の証なんだって」



最初から感じていた、白すぎるほど白い衣装



「生まれた時から翼がなくて、人とは違った能力があるから異端なんだって」



人事のように飄々とカムイは言った






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