片翼の天使達
「教会で育ったんだ。毎日毎日祈ってたよ……自分の罪が許されますように、って」
「……自分の罪って」
フェニは憤りに声を震わせる、そしてソレを淡々と語るカムイにも怒りを覚えた
「何であんた……!そんな扱いされて……怒らないのよ!?」
フェニは言いながら顔を歪めた
……これは、ひどい八つ当りだ
悲しいのも辛いのもカムイ自身なのに、けれどソレを表に出さないカムイにどうしても苛立ってしまう
その時、ベッドの上で少女がまつ毛を震わせた
「ユアン!」
アレックスは妹に声をかける
薄く開いた瞳は青緑、焦点を結ばない瞳は彷徨いアレックスを見た
「ユアン……」
ゆっくりと身体を起こしながら、ユアンは目の前の青緑の瞳を見つめた
自分は知っている
美しい髪飾りをくれて、幼い自分の手を引いてくれた暖かい『人』
「兄さま……」
そう呼べば、アレックスは泣き笑いのように顔を歪めた
自分を呼ぶ声はあどけなさを残していたが、表情は固いままだった
人形同然に扱われて来たせいなのだろう
もっと早く助けだしたかったが、鳥籠に近付ける身分になるのには時間が必要だった