片翼の天使達
真夜中
月の光りでアレックスの部屋は薄く照らされていた
目を覚ましてしまったアレックスは何となく起き上がる
床では二人の少年、カムイと黒い片翼の……レイブンと言う少年が横になっている
ベッドではユアンと深紅の片翼の少女……フェニが眠っていた
家主だから、とアレックスは二人の少年に言われソファーを使わせもらった
当然少女達はベッドなのだが
アレックスは毛布に包まるカムイを見つめた
彼を最初に見た時、感じた違和感
それは、あるはずの片翼がないせいだった……そしてソレが罪の証なのだと、カムイは言った
そこには、絶望も希望も怒りさえ感じなかった
冷たい視線を送ったレイブンも淡々と語るカムイも、どこか欠けているようにアレックスは思った
フェニは声を震わせたが、彼女でさえ欠けているものがある……恐らく『愛情』と言ったもの
孤児院にいる子供より深い、暖かさを求める瞳が哀しかった……