片翼の天使達
しかし、それよりも酷い……
何も望まない……望もうともしない孤独な漆黒の瞳
そして、それと恐らく同じ、アレックスにも読み取れないカムイを危うく思っていた
眠りにつく前に皆で話しあった時、ユアンはずっとカムイを見つめていた
『なんで………泣いてるの?』
『わかんない……』
ユアンにはカムイの何かが見えていたのだろうか……?
ぐるぐると中に浮く思考をアレックスは一旦、放り出した
あの後、レイブンも追及をやめて黙りこんでしまった
考えるのが疲れたのかもしれないと、半ば投げやりに思う
明日はさっそくカトレアを出る
五人で王都へ向かうという話しになった、それ以前にアレックスはユアンを救い出せたらこんな街とっとと出るつもりだったのだ
それに、広場での出来ごとを思えば早く姿を眩まさなければ……
あの幻のような出来ごと、理解の追い付かない頭でアレックスはあることを思い出した