クロス
ただ、イケメン!というのとはちょっと違う気がした。
美術館に飾られた、豪華なダイヤモンドではなく、ひんやりして、澄んだ川のせせらぎ。例えていうなら、そんなイメージだろうか。いや、自分がそう思いたいだけかな。まあ、べた褒めには変わりない。

でも、あたしはある時にふと思った。
こうやって浮かれきって一人で騒いではいるけれども、あたしは、この恋心をどうしたいのだろうと。

素晴らしかった。
こんなあたしの中にも、ご意見番とか参謀といった類の存在がいたのだ。
とはいえ、ほら貝に酔っ払って突撃するようなその他大勢のあたしと同様に、イケイケの立場は変わらなかった。が、非常に重要な議題ではあった。

あたしは、何がどうなってほしいのかな?と考えた。

いち。
彼氏になってほしい。

あたし、別に彼氏はいらないしなあ。

神様仏様この世の全ての何とか様ごめんなさい二度といいませんやっぱりずっと独り身は辛いので今の発言は取り消します。

あたしは心の中で心から土下座した。

って事は、やっぱり付き合いたいのか?
まあ万が一、彼とあたしが付き合ったら「美女と野獣」というよりは「王子様と珍獣」と指を刺されるだろう。奇跡は、天文学的な確率だからそう呼ばれるのだ。だいいちそこまで望んだらばちが当たりそうな今日この頃。




















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