君の御影に見た滴
その時、初めて気づいた。


車輪が『姉さん』と呼ばれるのを嫌う理由。


そして、いつも車輪の周りにたむろう奴らが『車輪姉さん』などとおべっかを使う理由。


みんな麻と一緒なのだ。


混血で美しいなりをした車輪のことを売春婦を見るのと同じ目で見ていたからなのだろう。
 

そういうことが分かるから車輪は初めて会ったあの夜、「あんたまで…」と言ったに違いない。


そう思った。
 


その頃とまったく変わらない態度で、今、麻は目の前にいる。


いや、一つも変わらないわけではない。車輪を見る目だけが変わらないのだ。
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