君の御影に見た滴
そんなことを言い合っている時、いつものやからが現れた。


ずいぶんにやにやと笑っていて、今にも懐から刃物とつきつけて車輪をおどしそうな様子だった。
 

僕は急いでその中に入って行ったけど、男たちは僕を突き飛ばした。


「坊ちゃんはこの女にだまされてるんでっせ」
 

奴らの中の一人がそう叫んだ。その時、初めて僕は車輪の周りで車輪にいたずらしようとしているように見せていた連中が僕の父が雇った下郎どもなのだと悟った。
 

車輪は倒れた僕を大きく見開いた目で見て、顔を背けた。


きっと、ショーンと一緒にいるところを見られたのが嫌だったのだろう。
 

車輪はとっくに知っていたのだ。


自分を売春婦と同じように扱って近寄ってきていた男たちと、僕が一緒にいるようになってから近寄ってくるようになった男たちが別の目的で近づいてきていたことを。


だからずっと一緒にいるなんて無理だと言ったのだ。
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