君の御影に見た滴
奴らが笑いながら去って行った頃、ショーンはほぼ息をしていないように見えた。


車輪は女だからか、顔は打たれていなかった。


いや、違う。


混血は悪魔。


混血は魔女。


顔を打てば殺される。


そんな思いがきっと、あんな連中の中にも根付いていたのだろう。


異人は人間だけど、混血の者は特別な力を持つのだ。


それでも体をたくさん打たれた車輪は苦しそうだった。


「耕造…」
 

精一杯の声で車輪は言葉を発した。


「ここに来て」
 

僕はやっと動けるようになり、車輪のもとに走りよった。


「ごめんな車輪。ごめん」
 

僕は車輪に影を踏まれたというのを言い訳にして、暴力から逃げたのだ。

車輪を守ると十四歳のあの時、誓ったのに。
 

僕は警察を呼んでもらって、彼らが来る前に車輪だけかついで彼女の家に運んだ。
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