君の御影に見た滴
何週間も経って落ち着いた頃、僕はやはり結核に感染していると告げられた。
麻が急に白く美しくなったのは、結核のためだったのだ。
また結核が流行り始めているという情報はラジオから届いた。
結局、悪魔と呼ばれた車輪ではなく、純血の幼馴染が真っ先に僕の周りで結核で死んだことになる。
結核で必ず死ぬわけではないと医者は言っているけれど、戦争が終わったばかりでまともに医療も発達していないこの日本で、僕が生きていられるとは思わなかった。
生きている必要もなかった。
だってもう車輪はこの世にはいないのだから。
死ねば会えるのだろうか。
車輪はどんな姿で僕を迎えてくれるだろう。
早く死ねられれば良いのに。
そう思っていた。毎日、死が待ち遠しかった。