君の御影に見た滴
わしづかみにしていた手を僕の腰に回して、車輪はひたいに口づけをした。


僕の影は車輪と逆の方向にあるのに、僕は体を動かすことが出来なかった。


「車輪、あかんよ。こんなんしてるとこ見つかったら、いつもの奴らが車輪に何するか分からん」
 

そうは言っても僕の体は車輪にぴったりとくっついていた。


「そんなん言われても、したいんやもん」
 

彼女のその行動は、アメリカの父親を持つからだったのだろう。


おおらかで大胆で、でも女らしい。


それは車輪に流れる血がさせていることだろう。
 

悪魔だなんてとんでもない。


車輪は誰よりも魅力的だった。


「待っててあげるしな」
 

車輪が小さな声で言ったのを僕は聞き逃さなかった。
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