ＷＡＬＫ ｔｈｅ ＴＡＬＫ

非常に厳しい部活だったので、試合中に体育館を抜け出すなんてことは重罪だった。

でも、もはやそんなことはどうでもよかった。耐えられなかった。


体育館裏の狭い倉庫。


カギが閉め忘れてあるその倉庫は僕の秘密の部屋だった。そこがこんな形で役にたつとは。


「もう耐えられん。」
僕が声に出す。

「マジであのハゲ何考えてっかわからん。」

ぐっちゃんが続けてくれる。

「くそっ〜…くそっ…」
山口くんは呟き続ける。

三人で愚痴をありったけ言い続けた。


「このままじゃ終われん。」


山口くんが口を開く。


「だってそうだろ！このまま終わったらハゲを見返せない！」


ぐっちゃんも少し声を大きくして言う。


「絶対うまくなってハゲを見返してやろうぜ！」

燃えた。この時を境に僕の人生の価値観。考え方。優先順位。全てが変わった。


この二人が居なければ僕はこの日にバスケをやめていたかもしれない。


「打倒ハゲ…だね」


僕は言った。自分に言い聞かせた。絶対にうまくなってみせる。平川くんよりも曽我くんよりも誰よりもうまくなって、メンバーから外した園田コーチを絶対に見返してやるんだ！


練習だ。練習しなければ。