草食系彼氏
入り口に立っているからか、周りの視線が集まってくるのがわかった。
やだ、見られたくない……。
「……高、私少し用があるから……先に帰ってていいよっ!」
私は掴まれた腕を振り払い、廊下を早足で歩いた。
心臓が、変にドクドクと動いている。
血を送りすぎなんじゃないかと心配になるくらい、速く。
……私、どうして見られたくないなんて思ったんだろう。
私達が付き合ってることくらい、みんな知ってるのに。
高が知らせて……くれた、のに。