草食系彼氏
考えながら歩いていたら、誰かにぶつかった。
「わっ」
「お」
「ご、ごめん……っ」
謝りながら、今日はよくぶつかる日だなあ、と思った。
ちょうど理科準備室の前だった。
顔を上げたとき、ぶつかった相手が誰なのかに気付いた。
「ら、来季…」
「ん?あ、来た」
来ないかと思って帰るとこだった、と言う来季の様子からは責めるような感じも避けるような感じもなく、ただ、いつもどおりだった。
そんな来季に少し安心しつつ、やっぱり不安は消せなかった。