噛みつくようなキスをして
現に、今、このスリニエル男爵家は借金まみれの状態。
いくら領民から好かれる領主だろうと、お金が無かったら意味が無いわ。
だって、領主と言うものはお金がなければ務まる仕事じゃないんですもの。
あぁ。
私は綺麗な宝石や、豪華なドレスなんていらないわ。
本当に欲しいのは家を守るためのお金だけ。
それさえあれば、暫くは何とかなる。
――だから。
だから、私は自分を犠牲にしてでも家を守って見せると決めたの。
それが後々、酷く後悔することになるとも知らずに…ただ、純粋に自分の大切なものを守りたいがためだけに。