噛みつくようなキスをして



基本的に彼、アリオン・ヴァートは仕事が出来る人間なのだ。


ただし、自分に自身がないだけで。


しかし、そんな彼を自分の秘書的役割に配置したレティシアの手腕は確かなものと言えるだろう。


「なら、良いわ。流石に私が応対するわけにはいかないものね。」


これでもレティシアは倒れてしまったスリニエル男爵の代わりに領主としての仕事をこなしていた。


そのため彼女は自分が応対することも念頭には置いていたのだが、どうやらその心配はなさそうだ。



最近のスリニエル男爵は体調も良くなっており、仕事をするには十分なほどに回復していた。


ただレティシアと彼女の母親が念には念にを押して、男爵をベッドに縛り付けておいただけなのだ。


 
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