いばら姫と王子様 ~AfterDays~
携帯電話がなんだってんだ。
緋狭姉が紅皇に復帰したら、忙しすぎて神崎家にずっといられねえ。
そうしたら俺と芹霞は2人になるんだ。
よし。
家出はやめだ。
一時避難をしていた櫂の家を出て、俺は神崎家に戻る。
神崎家は俺の家だ。
俺だけの権利だ。
芹霞が退院したら。
携帯なんて必要ねえほど、芹霞を近くに感じてやる。
"おはよう"も"おやすみ"も、芹霞の直の声を聞くんだ。
機械を通してではなく。
俺が直接。芹霞の真隣で。
そして俺も囁くんだ。
誰よりも近く、抱きしめた芹霞の耳元に。
一番最後の"おやすみ"と、一番最初の"おはよう"を。
先手必勝――だ。
そう、心に決めた。
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「先手必勝…だけどお前が傍にいてくれねえと意味ねえんだよ」