いばら姫と王子様 ~AfterDays~
§初めてのモノ
└桜Side*****
桜Side
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「ねえ、葉山。師匠いないと、随分とこの家冷えるね」
遠坂由香――。
縁あって玲様に(勝手に)弟子入りを始めたコスプレ娘。
酷い怪我を負って、芹霞さんと同じ病院に入院していたけれど、玲様の代理を任せられた為に早々に退院し、この家の結界で回復を待ちながら仕事をしている状況だ。
毎日違う格好しないと気が済まないらしく、今は看護師の格好をしている。
私だってこんな格好しているから人のことは言えないけれど、どうも遠坂由香は私を同類者と思っているフシがあり、更にはよく2人で留守番する機会も増えたから、何かと気軽に声をかけてくるようになった。
芹霞さんでさえ、あまり話さない取っつきにくいこの私に。
「玲様はにこにこ笑って温かい方ですからね。お留守番を任せられている私には、玲様の代理なんて烏滸(おこ)がましいですわ、正直な処は」
その間にも、私は玲様の仕事場で、玲様に言われていた書類に目を通して適切な処理をしている。
遠坂由香と言えば、玲様から彼が作り上げた巨大メインコンピュータ管理を任せられており、玲様が居た時と同様、黒い画面に0と1の数字をひたすらキーボードに打込んでいるが、その速度は尋常ではない。
玲様は機械語が判るから、0と1だけでも意味が通じるのだと思っていたけれど、この少女もまたその言語が理解出来るらしい。
恐らく一番玲様に近い処にいる少女だ。
「しかし師匠は多才だよなあ。紫堂も何でもソツなくこなすけど、師匠も医師免許まであるなんてさ」
「まあ、櫂様の次の実力者ですもの、それくらい当然といえば当然ですわ」
といいつつ、玲様を褒められたことに、誇らしい気分になってくる。
「ふうん。でも多才さは紫堂を遙かに超えるよね、師匠がこんなに格闘ゲームが好きだとは思わなかったよ、ボク」
「格闘ゲーム?」
私は僅かに目を細めて、仕事をしている手を止めた。
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「ねえ、葉山。師匠いないと、随分とこの家冷えるね」
遠坂由香――。
縁あって玲様に(勝手に)弟子入りを始めたコスプレ娘。
酷い怪我を負って、芹霞さんと同じ病院に入院していたけれど、玲様の代理を任せられた為に早々に退院し、この家の結界で回復を待ちながら仕事をしている状況だ。
毎日違う格好しないと気が済まないらしく、今は看護師の格好をしている。
私だってこんな格好しているから人のことは言えないけれど、どうも遠坂由香は私を同類者と思っているフシがあり、更にはよく2人で留守番する機会も増えたから、何かと気軽に声をかけてくるようになった。
芹霞さんでさえ、あまり話さない取っつきにくいこの私に。
「玲様はにこにこ笑って温かい方ですからね。お留守番を任せられている私には、玲様の代理なんて烏滸(おこ)がましいですわ、正直な処は」
その間にも、私は玲様の仕事場で、玲様に言われていた書類に目を通して適切な処理をしている。
遠坂由香と言えば、玲様から彼が作り上げた巨大メインコンピュータ管理を任せられており、玲様が居た時と同様、黒い画面に0と1の数字をひたすらキーボードに打込んでいるが、その速度は尋常ではない。
玲様は機械語が判るから、0と1だけでも意味が通じるのだと思っていたけれど、この少女もまたその言語が理解出来るらしい。
恐らく一番玲様に近い処にいる少女だ。
「しかし師匠は多才だよなあ。紫堂も何でもソツなくこなすけど、師匠も医師免許まであるなんてさ」
「まあ、櫂様の次の実力者ですもの、それくらい当然といえば当然ですわ」
といいつつ、玲様を褒められたことに、誇らしい気分になってくる。
「ふうん。でも多才さは紫堂を遙かに超えるよね、師匠がこんなに格闘ゲームが好きだとは思わなかったよ、ボク」
「格闘ゲーム?」
私は僅かに目を細めて、仕事をしている手を止めた。