いばら姫と王子様 ~AfterDays~
「あの如月だって紫堂に懐くし、師匠だって紫堂を可愛がってるし、葉山だって紫堂を崇めるだろ。おかしな集団だよ、君達は」
そうなんだろうか。
「皆が皆、神崎に超惚れちゃってるしさ~。一体誰のモノになるんだろうね、神崎は。
ま、一番の大穴は君だね。
葉山も神崎が好きなんだろ?」
「――は!?」
遠坂由香の言葉を理解するのに暫しの時間がかかってしまった。
「ふうん。気づいてないんだ。だけどまあ、君まで参戦したら…いや、それはそれで面白いかも。君は素材はいいからね。ふむふむ」
何がふむふむかは判らないが、私は悪寒を感じた。
誰が誰を好きだって!?
「あ~、チケット手に入らないかな~」
私を動揺させるだけさせておいて、当の本人は勝手に話を戻してしまった。
――動揺?
何で、この私が?
私は、酔っ払った芹霞さんに頬に唇をあてられてから、確かに何か変だ。
だけどそれは、吃驚したからで。
そう、ただそれだけだ。
だけど、何故遠坂由香の言葉を流すことが出来ないんだろう。
駄目だ。
深く考えてはいけない気がする。
「時に、葉山。君の初恋っていつ?」
「は!?」
「ぷぷぷ。凄い動揺の仕方。まさか、それも神崎だっていうんじゃないだろうね?」