いばら姫と王子様 ~AfterDays~
「紫堂と出会う前に、出会った男の子なんだって。何でも結婚の約束までしていたらしいよ」
そんな話――初耳だ。
「で、神崎はすっかり忘れているらしいけどね。鈍チン神崎らしいや。あはははは」
芹霞さんは、愛情に疎いと思っていたけれど、だけど愛情を愛情として感じる時期があったのか。
「……?」
ずくん、と胸がおかしな痛み方をした。
「ああ、行きたいな~『KANAN』、やってみたいな~。でもオークションでも売っていないし、"KAGAMI"ってどれだけの会社だよ、ハッキングすらできやしない。20名…いいなあ~」
遠坂由香の言葉は私の頭にはもう入ってこなかった。
私は馬鹿蜜柑とは違う。
私は主を裏切るような真似は絶対しない。
私は。
私は――。
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「初恋は叶わないっていうのなら、私は貴方を初恋にはしたくはない」