いばら姫と王子様 ~AfterDays~
「あの力は…極力使わない気でいる。あれは元々芹霞のものだ。俺のものじゃない」
――今まで近くにありすぎて、それが当然のように思ってきていて。突然それがなくなったら、どうしていいのか判らねえや。
それは芹霞の存在と共に、芹霞を護っていた俺の存在価値。
俺に戻った闇の力に触れれば、芹霞との接点が完全に消滅する気がして。
芹霞を護ることは、俺にとっては呼吸するのと同じくらい日常的なことだったから、
それが無くなり、俺は日常が崩れている。
寂しい。
芹霞を前より近くに感じられない。
最後の最後で、陽斗にしてやられた。
俺では立ち入れない、絶対的な位置に陽斗は納まった。
陽斗以上に俺は芹霞に踏み込むことが出来なくて。
せめて心が手に入ればと思うものの、俺の嫉妬から提案した"退院までは手を出さない"という約束に俺自身が縛られ、
さらに俺に対してぎこちなく笑うようになった芹霞に不安感が募り。
少なくとも2ヶ月前に抱いていた"自信"がないから、芹霞の態度の意味が判らない。
毎日がよく眠れない。
考えることは多すぎて、でも考えても解決できなくて。
俺を救うのは芹霞ただ1人だということは判っている。
判っているから、何とかしたいのに。
何とかしてもらいたいのに。
今でも俺は、芹霞にとって1番なのだろうか。
陽斗がいれば、俺は用済みになっていないだろうか。