いばら姫と王子様 ~AfterDays~
そんな時、玲に言われたんだ。
芹霞が、まだ闇に惑っているフシがあると。
俺の力の残滓が、彼女に影響を及ぼしているのか。
そう考えたら――
嬉しくなった。
俺は確かに芹霞の中にいて、芹霞はまだ俺を必要としている。
彼女だけでは対処できないほど、俺を求めている。
そう思ってもいいのだろうか。
俺は、密かに首にかけているペンダントヘッドを握り締めた。
「ああ!? お前、血染め石(ブラッドストーン)のネックレスなんて作ってたのかよ?」
煌でさえ今気づいた俺の首飾り。
ペンダントヘッドには、シンプルなケージに入った血染め石。
当然だ。
8年間誰よりも芹霞を1番感じていたそれを、俺が手放すわけないだろう。
心臓の位置に直に触れ合うよう、いつも身につけていたんだ。
「そういえば、血染め石って…2つに割れてたんだよな」
煌が思い出したように呟いた。
「もう1つはどうしてんだ?」
俺は頷き、ポケットから剥き出しの石を取り出した。
「ふうん? それはどうするよ?」
褐色の瞳が好奇心に輝いた。
「……この行き先は…決まっている」