いばら姫と王子様 ~AfterDays~
§誘われるモノ
└桜Side*****
桜Side
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「貴方は神を信じますか?」
玲様に言われた買い物の帰り、呼び止められた私に彼はそう聞いた。
これから櫂様と煌と合流する――その直前のことだった。
にこやかに笑う彼は、白色の神父服に十字架……大きめのロザリオというものをかけて、私に微笑みかける。
一瞬――その服を見て、陽斗かと思った。
全然違う。
服の形が似通っているだけだ。
艶ある長い黒髪を後ろで1つに束ね、眼鏡越しのアーモンド型の目が私を見つめる。
若い男だ。
整った顔のようだが、若さと美貌で信者を釣るとは世も末だ。
私は無視して歩き出したが、彼も一緒についてくる。
「貴方は神を信じますか?」
あまりにしつこくて、また足を止めてしまった。
執拗な偽善者ほど、反吐の出る者はない。
「信じません」
何処までも素っ気無く、何処までも簡潔に。
私は、偶然に紡がれた接点を切り落とす。
しかし彼は引かなかった。
「信じられるのは自分だけ、ですか?」
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「貴方は神を信じますか?」
玲様に言われた買い物の帰り、呼び止められた私に彼はそう聞いた。
これから櫂様と煌と合流する――その直前のことだった。
にこやかに笑う彼は、白色の神父服に十字架……大きめのロザリオというものをかけて、私に微笑みかける。
一瞬――その服を見て、陽斗かと思った。
全然違う。
服の形が似通っているだけだ。
艶ある長い黒髪を後ろで1つに束ね、眼鏡越しのアーモンド型の目が私を見つめる。
若い男だ。
整った顔のようだが、若さと美貌で信者を釣るとは世も末だ。
私は無視して歩き出したが、彼も一緒についてくる。
「貴方は神を信じますか?」
あまりにしつこくて、また足を止めてしまった。
執拗な偽善者ほど、反吐の出る者はない。
「信じません」
何処までも素っ気無く、何処までも簡潔に。
私は、偶然に紡がれた接点を切り落とす。
しかし彼は引かなかった。
「信じられるのは自分だけ、ですか?」