それでも痩せたい恋物語
「舞はよく食べるなぁ」
お父さんが笑う。二重あご。
「食べ盛りだもんねぇ」
お母さんも笑う。三重あご・・・

「あ、お姉ちゃん帰ってきた」

やばい。
お姉ちゃんのご帰還だ。
「あー疲れた」とか言いながらリビングへとやってくる。
私は急いでシチューを口に流し込んで、携帯を弄り始めた。

「ただいま~ってあれ?舞シチュー食ってんの?」
「今日はお母さん、腕振るったの」

お姉ちゃんがジャンパーを脱いだ。
なんだあの細い足。鶏がらかよ。
冬にそんな足出してると、年取ったら脂肪蓄積するって書いてあったよ!

「あんたダイエットする~って言ってたじゃん、もう諦めたか」

「え?ダイエット?舞ちゃんダイエットなんかしてるの?」

もう、この女は口が軽い。

「まぁね」とか言いつつ、携帯を見つめる。
こんな細い足を見たら気分が憂鬱になる。
部屋へ行こうとすると、お姉ちゃんが一言。

「ほら見てよ、あの丸い背中。相撲取りみたい」


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