それでも痩せたい恋物語
だけど結局。
私は残りの大根、はんぺん、餅きん。
そしてスープまで口にしてしまうことになった。

「ごちそうさま・・・」
「おう」
冬に突入してからと言うものの、毎日こうだから。
朝ごはんを食べるけれど、家からここまで来るとお腹がすくそうだ。
だからコンビニで何かを買って、二人で食べる。
どうして私も食べなくてはいけないのか。
そう思っても、『食べる?』と差し出されたら食べてしまう。

なんて言えばいいのか。
けど、このまま彼に付き合っていると、私はいつか彼よりも太ってしまう。
いや、今でももしかしたら太っているかもしれない。
彼の体重は知らないんだけど・・・
もしかしたら・・・

「どっこいどっこいかもしれない」
「・・・何が?」
机に突っ伏してボソッとつぶやく。
「彼氏と私の体重だよ」
「あぁ、黒野くん?」
「そう」
そんな話をしているのは、同じクラスのちひろ。
前の席だから、休み時間はこんな風にいつも話している。
「何?気にしてるの?」
横を向いたままの姿勢で、ちひろが聞く。
その言葉に頷く。

「別に太ってないじゃん」
「太ってるよ!顔とか!ほら、これっ」
と言って、あごの肉をつかんで見せた。
少し驚いたようだけど、無表情のまま。

「普通だよ、そんなん」
「普通じゃないよ・・・今日だって断食しようとしたのに」
「断食!?」
目を見開いて教室中に響き渡るような声で言う。
「ちーちゃん!声!声!」
周りの生徒が一斉に私たちを見る。
「ごめん・・・」



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