それでも痩せたい恋物語
再びベッドに入って目を閉じてみるけれど、寝られる状態ではない。
いつもなら音楽を聴きながらお菓子を食べているんだけど、今はそんなことをしていられる状態ではない。
頭の中全部が『痩せたい』の四文字。
モチベーションを上げる為に、体重計に乗る。
朝から何も食べてない。野菜ジュースを口にしただけ。
前の自分からは全く想像出来ない。

「こんだけ我慢してるんだから、痩せてるでしょ・・・」
右足を乗せて、左足も乗せる。
体重計のモニターが体重を示す。
「え、ちょっと待って」
私は驚いた。
だって、今朝より200グラムしか減っていないから。
昨日計ったときは51.2キロ。
今朝計ったときは53.8キロ。
そして現在、53.6キロ。
たった200グラム・・・。
200グラムの重さなんて正確にはわからないけれど、すごく我慢していたのに、たったの200グラムしか減っていないことが辛かった。
1キロ痩せるには、どこまで辛い思いして我慢しなくちゃいけないのか。
考えるだけで目まいがした。

「どうして痩せないの?」
断食の仕方が間違っていたのか?
それとも、野菜ジュースを飲んでしまったのが悪いのか。
パソコンを開き、詳しく調べてみる。
「断食1日目ではあまり効果は出ない。次の日からが勝負」
「胃が小さくなるので、少しの量でもお腹いっぱいになる・・・」
「本当かよ、それー?」
少しの量って一体どれくらい?
ご飯はどれくらい食べていいの?
お茶碗何杯が、少しの量って言えるの?
頭の中がはてなだらけでキリがない。

そんなことをずっと考えているとお母さんの声がした。
「ご飯ー!降りてきなさいー!」
いつの間に帰ってきたんだろうか。
分かったよーと返事をして、パソコンを閉じる。

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