それでも痩せたい恋物語
ん?
あたし、今普通に返事したよね?
食べちゃいけないじゃん、あたし。

今、挫折を見たばかりじゃん。
何普通に食う前提で返事をしたんだ。
食べたい。
部屋を出ればシチューのいい匂いがした。
今にもお腹の音が鳴りそうな私。

ここで「食べない」なんて言ったらお母さん寂しがるだろうなぁ・・・
シチューなんて何日も持つものじゃないしなぁ・・・
食べないなんて言って残ったら、もったいないよなぁ・・・

「明日から。明日から痩せればいい」
何ということでしょう。
自分を自分で援護した私は、勢いよく階段を駆け下りた。

リビングに居るのはお父さんとお母さん。
お父さんは母と結婚してから20キロも太ったそうだ。
つまりうちは、デブ家系なのだ。
痩せているのはお姉ちゃんぐらいだし・・・

当たり前のように用意された晩御飯を見ると「いただきます!」と言って食べ始めた。

美味しい。
なんかいつもよりすっごく美味しく感じるんですけど。
なんかもう箸が止まることがない。
ダイエット?え?何のことですか?
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