桜色の糸*完結
「葵ちゃーん!!」
「い゙、だい゙…」
"一年三組"とプレートが付いている教室に戻ると未来が勢いよく抱き着いてきた。
私より小さい未来の頭が顎にクリーンヒット。
余りの痛さに目に涙が滲む。
「どこ行ってたの?」
未来は頭を傾ける。
その仕種が可愛くて抱きしめたくなった。
「ちょっとね。」
顎の痛さも忘れ、笑顔で未来の頭を撫でる。
「え~。
それより、このクラスかっこいい人いない~!!
で、で、で、やっぱ葵が一番可愛いね!!
彼氏絶対に作ってやるー!」
頬を膨らましたらと思ったら、一方的に話し出した未来。
昔からよく喋る子だった未来に、喋るより会話を聞く方が好きな私と相性がよかった。
SHRが始まるまで未来の席で会話を楽しむ。
---ガラッ…
後ろの扉が開き、怠そうに歩き教室に入って来た彼。
クラス中の女子達が頬を赤く染め、歓喜の声を漏らした。
未来もその中の一人で
「わぁ~!あの男の子綺麗な子だね!!」
未来の言葉にズキッと胸が痛くなった。
女子から熱い視線を受けながらも気にせず、席へと向かう彼の姿を目で追う。