桜色の糸*完結
「葵ちゃん帰ろ?」
未来に話し掛けられ我に返った。
「未来…?」
「ん?」
「私、自己紹介してた?」
心の笑顔を見てからの記憶が無く、自己紹介した記憶が全くない。
「えっ?ちゃんとしてたよ。
高橋葵、西原小出身って。」
笑顔で話す未来に安堵の溜め息を漏らす。
「それにしてもさ、あれ凄いね…」
未来が苦笑いしながら指で指す方へ視線を向けると
---ズキッ…
心の机の周りには沢山の女子生徒。
心の姿は女子達がいて見えなかった。
ズキズキと痛む胸。
「--痛い…」
「えっ?何か言った?」
「ううん、帰ろうか?」
「うん!」
心に背を向け、歩きだす。
--恋するとこんなに苦しいものなの?
ズキズキと痛む胸を抑えて…