桜色の糸*完結
「あれ?あおは?」
昼休み、部活仲間と一緒にバスケをやり終え教室に戻ると葵の姿がない。
いつも一緒にいる親友の市原未来に声をかけてみたが
「えっ?
---し、知らないよ!」
視線を泳がしながら言う市原。
--何か知ってる…
態度に出ている彼女は、頭を伏せ縮こまった。
最初はとくに気にしなかったが、毎日毎日昼休み終了のチャイムが鳴ると帰ってくる葵に疑念が生まれる。
「あお、どこにいるの?」
「し、知らないってば!」
市原に聞いても"知らない"の一点張り。
あお本人に聞いても"雑用頼まれた""トイレ行ってた"の嘘だとわかる嘘をはく。
だけど、入学式から一ヶ月の今日。
あおの様子がいつもと違い、問いただそうとした瞬間にタイミングよくチャイムがなった。
「ちっ」と周りには聞こえないように舌打ちをし、席に着いた。
後ろの席から葵の姿を見つめる。
白に近い金髪の髪、青い瞳、可愛い顔立ち。
愛しい彼女。
周りからはハーフだからと言って近寄ろうとしない人が多く、いつも親友の市原と一緒に居た。
俺は、葵が誰にも奪われないと安心しきっていて周りが見えてなかったんだ…