桜色の糸*完結
紺色の膝下まであるプリーツスカートが乱れても、体育館シューズが土で汚れても気にせず花びらが舞ってきた方向へ走る。
校舎の角を曲がりプールの横を通り過ぎる。
「はぁ、はぁ…」
呼吸が乱れるが必死に走り続けた。
花びらはもう落ちてしまったが、見えない何かに誘導されているかのように走り続ける。
少しすると一面の芝生に大きな木が見えてきた。
木全体が見える位置で止まり、乱れた呼吸を整えながら眺める。
一面の芝生の真ん中に、満開の桜の木。
遠くで見てもわかる程、立派で綺麗な桜の木に見入った。
桜の木は、満足するまで見続け、ゆっくりと木を見据え歩きだす。
桜の木が近付くにつれ、緊張し暴れる心臓。
緊張する意味がわからなく戸惑うが、体はわかっていたのかもしれない。