桜色の糸*完結
「心!!」
一生懸命クラスの応援をしている葵に魅入っていると、背後から声をかけられ振り返る。
そこには、入学してから身長が伸びなくて悩んでいるらしい親友の一樹の姿が。
「ちっさい。」
「ちっさい!!ちっさいだと!?
キィィィー!!これから伸びるんじゃい!」
一言目にボソッと呟いた声も瞬時に聞き取り、ギャーギャー騒ぐ一樹。
「うるさい。
そんなんだと市原に嫌われるぞ。」
「えっ!えっ!えぇー!!!」
真っ赤になり大袈裟に驚く一樹は市原に片思い中…
市原は俺から見ても可愛い部類に入る。
だけど、葵と話している市原はよく喋る…
だから論外。ってか、葵以外無理。
俺は葵みたいにのんびりしている子が落ち着く。
「静かな方がいいのか…?」
不安そうにする一樹、ちょっと虐めすぎたか?と思ったが
「市原はよく喋るから話を聞いてくれる奴がいいんじゃないか?」
いつもテンションが高い一樹が大人しくなるかもと思い言った言葉。
「そっか…
あっ!リレー負けないかんな。」
納得した顔をし、小さな声で叫ぶ一樹に声を殺して笑った。