桜色の糸*完結


少し離れた場所で準備運動を始めた一樹を横目に葵へ再び視線を向けるとトラックに入り、バトンを待つ葵の姿があり


「あおぉーーー!頑張れよー!」


前の走者の姿をジッと見ていた葵が俺の方へ視線を向けるとフワリッと微笑んだ。


ドクンッと高鳴る胸。


俺、重症かも…


かなり葵に入れ込んでいる。


「あっ、あおちゃん可愛いね。」


準備運動を終えた一樹が俺の横に立つ。


「はぁ?」


「俺は、未来ちゃん一筋だよ!」


焦る一樹は「だけど…」と雑そうに視線を向けた先には


「ちっ」


葵の笑顔にノックアウトされ、顔を赤くした野郎達の姿。
思わず舌打ちした俺の隣で苦笑いをする一樹。


葵が髪の毛を切られてから葵は男女共に人気が出ていき、告白されている姿を何度か見たことがある。
その度に嫉妬心が湧く俺は


--葵は俺しか見ていない。


と言い聞かす。


実際俺も告白されては断り続けている。

俺には葵しか見えていない。


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