桜色の糸*完結
「葵ちゃんいけぇー!」
「高橋さん頑張れよー!!」
図太い野郎共の声で我に返り葵を見ると、ちょうどバトンが渡されるところで"ホッ"と安堵の溜め息を吐くが、走り出した葵にクラスメート以外の男の歓声が聞こえ苛立つ。
「---っ…」
一ヶ月で肩の下まで伸びた髪の毛は、太陽の光を反射して輝き揺れている。
真っ直ぐ前を見据える真剣な眼差しの青い瞳
葵の姿に釘付けになる。
"綺麗"
バトンを持ち、トラックを走る葵の姿は綺麗だった…
四位でバトンを受け取った葵は三位を追い越し最終コーナーへ
縮まる距離に「早く、早くこい!」と胸の中で叫ぶ。
コーナーを曲がり、視線が合った瞬間
「---あお!!」
叫んでいた。
--早く、俺のところに来い!!