桜色の糸*完結


「葵ちゃんいけぇー!」

「高橋さん頑張れよー!!」


図太い野郎共の声で我に返り葵を見ると、ちょうどバトンが渡されるところで"ホッ"と安堵の溜め息を吐くが、走り出した葵にクラスメート以外の男の歓声が聞こえ苛立つ。


「---っ…」


一ヶ月で肩の下まで伸びた髪の毛は、太陽の光を反射して輝き揺れている。


真っ直ぐ前を見据える真剣な眼差しの青い瞳


葵の姿に釘付けになる。


"綺麗"


バトンを持ち、トラックを走る葵の姿は綺麗だった…


四位でバトンを受け取った葵は三位を追い越し最終コーナーへ


縮まる距離に「早く、早くこい!」と胸の中で叫ぶ。


コーナーを曲がり、視線が合った瞬間


「---あお!!」


叫んでいた。


--早く、俺のところに来い!!




< 36 / 101 >

この作品をシェア

pagetop