桜色の糸*完結
最終コーナーを曲がり、視線の先にいる心を見る。
目が合った瞬間
「---あお!!」
大好きな彼の声が耳に届いた…
ドキッと高鳴る胸。
心の声が聞こえ、疲れた体が軽くなった気がした。
左右の足を交互に前へ出し、地面を強く蹴る。
彼の姿が数メートルに縮まるとゆっくり走り出した心を追い掛ける。
--早く、早く…
この距離がもどかしい…
「--しん、ちゃ…」
差し出された手にバトンを乗せる。
口角を上げ笑った心は、手の平に乗ったバトンを握り締め走り出した。
走り出した彼の匂いを風が運んできた…
ドキドキと暴れる心臓。
(---あお!!)
彼の声が頭の中でこだまする。