桜色の糸*完結


最終コーナーを曲がり、視線の先にいる心を見る。
目が合った瞬間


「---あお!!」


大好きな彼の声が耳に届いた…


ドキッと高鳴る胸。
心の声が聞こえ、疲れた体が軽くなった気がした。


左右の足を交互に前へ出し、地面を強く蹴る。


彼の姿が数メートルに縮まるとゆっくり走り出した心を追い掛ける。


--早く、早く…


この距離がもどかしい…


「--しん、ちゃ…」


差し出された手にバトンを乗せる。
口角を上げ笑った心は、手の平に乗ったバトンを握り締め走り出した。

走り出した彼の匂いを風が運んできた…


ドキドキと暴れる心臓。


(---あお!!)


彼の声が頭の中でこだまする。

< 38 / 101 >

この作品をシェア

pagetop