桜色の糸*完結
「立派な桜の木…」
ゆっくりと歩いていたが、桜の木が近くなるにつれ歩く速度が上がる。
「うわぁ~、綺麗…」
目の前にある桜の木を見上げた。
「-----っ…」
強い風がふき、桜の花びらが宙を舞う。
その花びらを眺めながら、風に舞った白に近い金色の長い髪を手でそっと押さえる。
フッと花びらから桜の木に目線を戻すと
「--あれ?」
木の影からスニーカーの先が見えた。
「誰か後ろにいるのかな?」
緊張し暴れる心臓を深呼吸をして落ち着かせ、ゆっくりとスニーカーに近づく。
立派な木の幹に寄り掛かり顔を覗かせてスニーカーの主を見る。
「--へっ?」
視界に入ったのは、芝生の上に仰向けで腕を枕にして寝ている男の子の姿。
東第三中の制服の学ランを崩して着ていた。
木から体も出し、彼を見る。
昼寝をしている彼は長い間、寝ているのか制服に沢山の桜の花びら。