桜色の糸*完結


「お嬢様、出発しますのでお掴かまりください。」


前に座った彼の腰に腕を回すと


「きゃっ」


自転車は勢いよく発進した。
落とされないように心に抱き着くようにしがみつくと心はスピードを落とし、鼻歌を口ずさむ。


自転車は駐輪場から正門へ向かう。


「あお、行くよ?」


「う、うん…」


返事をすると同時に加速する。


視界の先には


「ごらぁー!!!降りろぉぉ!!」


正門に立ち怒鳴る学年主任の姿。


--すいません、先生…


胸の中で謝罪した。


毎日行われる逃走劇に、生徒達はこの時間を楽しみにしているとか…
前に『心君の後ろに乗って愛の逃走劇やってみた~い』と友達に言われたが絶対に駄目。


--ここは私の場所…



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