桜色の糸*完結
「入学式だるい…」
新しく入学する中学校までの道のりを小学校の時から仲のいい後藤一樹(ゴトウ カズキ)と歩く。
「入学式に出ないと先生に目をつけられるよ。」
短髪黒髪、幼さが残る150センチ程の一樹は可愛い顔立ちをしている。
「はいはい出ますよー」
着崩した制服のポケットに両手を突っ込む。
「それに、その制服!
先輩に目つけられるからちゃんと着てよ…」
溜め息を吐き、口煩く注意をする一樹は母親みたいだ。
その言った本人は、しっかりと第一ボタンを閉めてピシッと制服を着ている。
「はいはい…」
そんな一樹を横目に生返事。
隣で歩く一樹は止まることなく注意をしてきたが、全て生返事で流す。
家から近い中学校にはすぐに着いた。
正門には"第十五回 入学式"と書いてある立て札。
立て札の横に立ち笑顔で写真を撮っている家族の横を通り過ぎる。
「確かクラス発表の紙は下駄箱に貼ってあるんだよね?」
「知らない。」
「じゃぁ、下駄箱だ。」
そう言い下駄箱に向かう一樹の後に続く。
下駄箱に向かう途中、何かに引き付けられるように体育館の方を見たが何も無く、そのまま校舎の中に入った。