桜色の糸*完結
「未来、一樹またなー!!」
「未来ー!!かずくーん!ばいばーい!」
2人に手を振り正門を出た。
一瞬だけ桜のある方へ視線を向けたがこの位置だと見えなかった。
少し残念に思ったが、また葵と見に来ようとココロに決め葵の手を引き自宅へと歩きだす。
事故にあってから自転車には乗らなくなった。
葵の家まで歩きで送り自宅へ帰るようになり、今まで一緒に帰った道のりを歩くのが今日で終わりだと思うと寂しい気持ちになった。
最近痩せ細った葵の手を引いていると不安になる。
葵がどこか飛んで行きそうで…
不安は積もりに積もる。
早く葵の全てが欲しくて、この不安の塊を取り除きたくて…
ゆっくり歩いていた足は徐々に速くなっていった。