桜色の糸*完結
「この道もあおと歩くの最後かぁ…」
日が完全に沈み街灯の光を浴び、薄暗い道を寒さに耐えながら歩く。
「--う、うん…」
「あっでも、あおが俺ん家に遊びに来るときはこの道だな。」
笑顔で話をする心を見るとズキッと胸が痛くなる。
「あお、どうした?」
俯きながら歩く私に、白い息を吐きながら覗き込む彼の姿が視界いっぱいに写った。
「---っ…だ、大丈夫だよ!」
泣き出しそうなのを堪え、笑顔を向ける。
ちゃんと笑えただろうか…
心は、私の荷物を奪い
「まだ痛いんだろ、ほれ乗れよ。」
しゃがみ、背中を向けた。
乗るように促された私は「いいよ」と断ったが
「お姫様だっこにする?」
と言った彼に
「--お、んぶがいい…」
負け、背中に乗ることを決めた。
「あおは軽いなぁー!!」
「--ひゃっ!お尻触らないで!」
「はいはい、お嬢様落ちないようにしっかり捕まっててくださいね。」
彼の言葉に腕を首に回し抱き着いた。
---温かい…
彼の温もりが心地よい。
このまま時間が止まればいいのに。