桜色の糸*完結
FROM 高橋葵
件名 無題
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家庭の事情で、入学式に行けなくなっちゃった。
ごめんね…
END
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夕食を食べ、部屋へ戻ると葵からメールが来ていて慌ててメールを開いた俺の目に飛び込んできた文字。
「行けないって…」
葵の制服姿を妄想し、楽しみにしていた俺は肩を落とした。
残念だが仕方がない。
「わ、か、っ、た。--送信…」
声に出しながらメールを打ち、送信ボタンを押した。
数分すると携帯が音を発てメールの受信を知らせた。
FROM 高橋葵
件名 ごめんね…
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明日、午後に桜見に行かない…?
END
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葵からのメールに目を通すと思い出すのは葵と三年間一緒に見た桜の木。
そして
(来年も一緒に桜見ような…)
(うん。)
葵と約束したあの日のことを…
「行く。家に一時頃迎えに行く。」
メールを打っていると頬が緩んだ。
今年も一緒に桜が見える。
俺は葵からのメールが嬉しくて何度も読み返した。