桜色の糸*完結
「なかったんだよ…」
「何度も確認した」と言う一樹を置いて走り出した。
向かう場所はクラス分けが貼ってある掲示板。
下駄箱で靴を脱ぎ捨てる俺に
「心!靴ぐらい片付けてけ!」
説教する一樹の声が聞こえたが、反応する余裕すら無い俺は何も言わずに掲示板へと駆け寄った。
「ちょっ、どいてくれ!」
掲示板の前に溢れ返っている新入生を掻き分け、前へ出る。
一年一組から一年七組までゆっくりと目を通す。
---高橋葵…
--高橋葵…
「-----な、い…」
頭が真っ白になった。
(家庭の事情で、入学式に行けなくなっちゃった。)
(ごめんね…)
頭を巡る葵のメール。
何度も謝った葵。
---嫌な予感がする…
「---くそっ!!」
俺は走り出していた
「---はぁ、はぁ…」
葵の家に向かって----