桜色の糸*完結
「---あ、お…」
心の震える声。
--しんちゃん…
そっと顔を上げ心を見ると引き込まれそうな漆黒の瞳は哀しみに染まっていた。
「あ、お…」
哀しみに染まった瞳を向ける心に自分の決心が鈍りそう。
引き付けられるように心の頬へ手を伸ばし
「--し、---」
手と一緒に口から漏れた言葉を飲み込むと同時に、頬に触れる前に手を引いた。
心の漆黒の瞳は戻っていく私の手をジッと見つめていた。
その表情は戸惑いと哀しみが入り交じっていた。
---お願い…
--そんな顔をしないで…
-彼を守るには…
「---わ、別れてほしい…」