しゅうくりぃむ 【コメディ】
「よせ!向こうへ行け!」
この甘い香りに釣られてアリ共が現れた。口から吹き出す空気はむなしくアリを撫でるだけで、追い払うには至らなかった。それどころかアリは数は増して来るばかりで、今やテーブルは黒一色に成っていた。
「ああ、取り返しの着かない事態に…」
テーブルに落ちたシュークリームはアリが集まって真っ黒になっていた。そればかりか液がしみこんだ息子の宿題も食べている気がする。
「駄目だ!」
私は手近にあったヤカンのお湯をテーブルへとぶちまけた。アリ共は熱湯におぼれて死んでいった。私は勝利した、無数のアリの軍団をお湯で蒸し殺したのだ。私は浮かび死んでいるアリを見てむしろ満足すらしていた。