♪Kiminouta♪
♪Utau♪
・・・ここ、病室?
なんで?
隣には椅子に座ってあたしの手を握ってくれているこうた。
そっと指をほどいて、そばにあったタオルケットを幸汰の肩にかけた。
そして、もう一度手を繋いで眠りに落ちた。

次に目が覚めたときには幸汰はいなかった。
ドクターに呼ばれて診察室にはいる。
「・・・入院した方がいいですね。」
そんな言葉から始まり、予想していたことすべてを言われた。
「今日だけ家に帰らせてもらってもいいですか?」
ドクターは少し考えてから、
「本当は今日からがいいんだけど・・・。今日だけですよ。」
と、許可を出してくれた。
帰り際、ドクターはあたしに耳打ちをした。
「付き添いの方にはこのことを言ってませんから。」
よかった。
あたしは精一杯の礼をして病院を後にした。

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