さよならさえも、下手だった
音都:安心と緊張
地の底まで響き渡るような暗い声がする。
隠れていて顔が見えないから、相手がどんな人なのかわからない。
彼は夜十の親だろうか、それともまったく血のつながりのない人?
でも、そうか。
これが、夜十があんなに緊張していた理由。
刹那と呼ばれた人の声は鳥肌が立つほど冷たくて恐ろしかった。
その声の圧力だけで、簡単に人を殺してしまうこともできそうだった。
夜十が情報伝達のことで彼に文句を言う。
すると、
「どうせすぐに殺すんだ、声が出るかどうかなんて知る必要もないだろう」
体の芯まで瞬間凍結された気がした。
そのぐらいひどくて怖いことを彼は何の気なしに口にした。