さよならさえも、下手だった
そう、あの人たちはそんな愛し方しか教えてくれなかった。
私が欲しかったものは何一つ与えてくれなかった。
彼らが愛していたのは、私じゃなかったから。
死んだら生まれ変われるのかな。
だったら私は自由にしゃべることができる人間になりたい。
そうしたら私の欲しかったものだって、手に入ったかもしれないのに。
私は生きていたくない。
だから、ころして。
口だけを動かしてそう告げると、彼の目が大きく見開かれる。
「お前、声が出ないのか…?」
彼はポケットから折りたたまれた紙を取り出し、不機嫌そうに舌打ちした。
「あの野郎…。そんな情報ないぞ」
そこには私の写真が載っていた。
いつの間に撮られたんだろう。