さよならさえも、下手だった
けれどどんなに我慢しても、後から後から痛みは治まらない。
「ぐぁ…っ」
この痛みは過去の痛みか、罪の痛みか。
抑えきれない声を必死に押し殺そうと、シーツの上に身を硬くし寝転がる。
服の襟元を鷲掴んで浅い呼吸を繰り返しているうちに、大分痛みは遠のいた。
夜は、いつもこうだ。
まるで俺を責め立てるように、長い前髪で隠した左目はその存在を主張する。
――忘れるなよ、決して。
あの日ささやかれた悪魔の声がよみがえって、浮かんでは消えた。